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垂氷がんばる。その2。

2010年02月27日

気がつけばこんな時間に Σ(´Д`;)
集中するとあっという間ですね…。

ささ、SSその2はお待ちかねの交戦タイム!
既にゴングが鳴っているのはご承知置きの通り。後戻りはできません!
ずずいと続きに参りましょう!


双方とも号砲直後は動かず、静かな幕開けとなった。
距離が離れているせいかといえば、そうでもない。垂氷のしなやかさと槍のリーチなら、間合いは一足一刀。
それでも初撃を撃ち込まないのは、アイゼンの出方を待っているのか、先手の隙を恐れているためか。
いずれにせよ膠着状態は続く。
そしてそういった千日手に我慢ならないのが、アイゼンという神姫だ。視線は逸らさず、静かに、だがはっきりと。
「いくよ」
そう呟くと同時に一歩を踏み出す。
刹那。
張り詰めていた弦が解き放たれるが如く、垂氷が“爆ぜた”。
右脚から左脚へと重心を滑らせ、腰を捻り、添えた左手で軌道を定め、石突きギリギリを握る右手を渾身の力で繰り出す。
狙うは首元。どれだけアイゼンが強固であろうと、絶好の間合いから撃ち出されたこの練達の一撃を受ければただでは済まない。
避けるは不得手、ガードは槍にかかる回転が弾く。必倒の一手が突き刺さる!

ゴギィ!

ツルハシが鉱石に打ちつけられたかのような、低く鈍い音が響いた。
見守る男の顔に苦い色が浮かぶ。
果たして、乾坤一擲の切っ先は。
突き出されたアイゼンの、“額に”着弾していた。
トレードマークのツインテールが衝撃で揺れている。しかし、受け止めた頭部は、踏ん張った両足は、微動だにせず。
前髪の下から、揺るぎない意志を湛えた眼差しで垂氷の目を見据えている。
「今のは間違いなく、垂氷の100%だった。けど…」
アイゼンの首に力が入っていくのが、槍を通して垂氷にも理解できた。純粋な力勝負で垂氷に勝ち目はない。槍が僅かずつ押し込められていく。
「…ボクの100%は貫けない。“タンスに小指”理論だよ」
アイゼンの右手が槍の柄を掴もうと跳ね上がる。その動きを把握し、垂氷は素早く槍を引き下げ柄を右手の中で滑らせる。槍頭傍まで寄せたところで手首を回す。地面を擦る勢いで半弧を描く槍の柄を左手で下からすくい上げ、そのまま石突きをアイゼンの顎へと叩き込む!
手応えはあった。ありすぎるほどだ。それは初撃と同じ感覚であり、実効はほぼ皆無ということ。
考えるより先に石突きを下ろし飛び退る。その際にも、持ち手を返し槍頭で引き面を打ち込む。
効果はないだろう。それでも隙を見せることなく、無傷で最初の間合いにほぼ近い位置へと戻ることには成功した。
…再び、場を支配する沈黙。


「なぁ」
外野で見守る男は深く長い溜め息をついた後、傍らに正座している忍者型MMS、初雪に呼びかける。
「如何されましたか」
「“タンスに小指”理論って、ナニ?」
素っ気無い返事も気に留めず、繰り広げられたやり取りの中で浮かんだ疑問をぶつけてみる。
「私も全容は分かりかねますが、以前にアイゼンが垂氷に得意満面で語っていましたね。曰く、『どんな者でも歩いている最中にタンスに足の小指をぶつければ痛がるのだ』と」
「なるほど」
男は返事と共に腕を組み、少しの間、宙を仰いだ。それからうむ、とひとつ頷く。
「…で、どういう事?」
頷いたものの、全く理解はしていなかった。
「…私も全容は分かりかねると申しましたでしょう。推測するに、攻撃は不意を突くことが肝要、ということを伝えたかったのでは」
「ああ、そういう…。同じ殴られるなら歯を食いしばってたほうがマシだもんな。防ごうとする意識の合間を縫えってことか。堅牢なアイゼンを相手にするなら尚更だ」
顎に手を当て、うむ、と今度こそ納得して頷く。
「憶測に過ぎませんが。…それよりも、動きますよ」
場の空気の微細な変化を察知した初雪が告げたその時、視線の先でガキリと音が鳴った。


「手ほどきしてた頃、何回か想像したことがあってさ」
アイゼンが言葉を発しながら、首、肩、足首と、順繰りに関節を回していく。その度にガキリ、ガキリと関節部から音が響く。
「ボクらがぶつかったらものすごく相性が悪いんだろうなって。ボクは攻防一体の垂氷に手が出せないんだけど、垂氷は垂氷で頑丈過ぎるボクを持て余すっていう」
一通り関節の可動を確認し終えると、体勢を低く落としていく。
「思い描いてた通りの展開になったってことは、普通にやったんじゃ一生終わらないってこと」
低く、さらに低く。垂氷の構えよりも低くなった体勢は、まるで合図を待つ短距離走選手だ。
「でも、普通じゃないのがボクの真骨頂だからね。垂氷が知らないボクを見せたげるよ。さぁ、第2ラウンド……ついてこられるか、なッ」
云うが早いか、思い切り地面を蹴りつける。飛び出すその様はさながら鋼鉄の砲弾。
迫りくるアイゼンを前に、真っ先によぎった選択肢は“迎撃”。しかし、無防備に踏み出してきた最初とは違い、今度は重心も勢いも比べ物にならない。低い姿勢での突進は正面からではほぼ頭部しか捉えられず、そしてその石頭に対して有効打が見込めないのは実証済みだ。
ならば。“迎撃”の選択肢は潔く捨て、攻撃の糸口を掴ませないよう確実にかわす。そのまま、急ブレーキをかけるアイゼンの足に遠心力を乗せた一撃を見舞い、続けざまにガラ空きの首元を狙えば。
バランスを崩した状態での関節部への全力打突。いかな頑丈さでも、ただでは済むまい。
身体を浮かせつつ石突きで地面を叩き、反動を余すことなく全身に乗せ左へと跳躍する。直後に今までいた場所を鉄の塊が蹂躙していく。それを肌で感じながら、着地と同時に竜巻の如く身を捻り、槍を滑らせ、リーチぎりぎりで足を薙ぎ払う――!

ブオン

柄を握る手に感じられたのは空気の抵抗、それのみ。あの硬すぎる手応えがない。外した。避けられた。どうやって。焦る思考が疑問の答えを求める。
なにが起きたにせよ、素手では絶対に届かない範囲を垂氷は計算し、事実その通りの場所へ飛んだ。であれば、垂氷が体勢を立て直す間に強襲されることはありえない。
だからそうだ。大事なのは“どうして”ではなく“どうくるか”。冷静になれ。雑念は斬り捨て、感覚を研ぎ澄まし、何よりも先にアイゼンの挙動を確認しなければ!
落ち着いて耳を立てる。騒々しい足音が遠ざかっていくのが聞こえる。
すぐに目を配る。とてつもないスピードで走っていく後ろ姿が見える。
…遠ざかっていく、後ろ姿?


走っていく。走っていく。垂氷からどんどんと遠ざかっていく。
アイゼンは急ブレーキなどかけなかった。故に、止まることを前提に繰り出された攻撃は空を切る結果となった。
むしろ止まる気などなかったと云わんばかりに、逆に速度を増してさえいる。
向かう先は作業台――現在は戦場だが――の一端。
そこあるのは、いや、“居る”のは、ひとりの人間とひとりの神姫。それとひとりの気絶中の神姫。
つまりは外野席である。…嗚呼、なんという運命の悪戯か!


「なぁ」
徐々に近づいてくる嫁を細目で追いながら、男が声を上げる。
「猛烈に嫌な予感がするんだが」
男のぼやきを受け、傍らで正座する神姫が静かに目を閉じた。
「奇遇ですね。私も同じ心持ちです」


コメント

  1. ネフト | URL | GCA3nAmE

    Re: 垂氷がんばる。その2。

    ぉ・・・おぉ・・・これはすごい戦いになってきましたねっ!
    垂氷ちゃんの鋭い槍さばきも素晴らしいですが
    アイゼンさんの鉄壁もさすがの一言ですw

    そして烏丸様らの運命やいかにw

  2. arahabaki | URL | -

    Re: 垂氷がんばる。その2。

    遅ればせながらっ
    0、1っとまとめて見させて頂きました~

    アイゼンさんなんという硬さ!
    防御するつもりで受けたとはいえ真正面からの渾身の一撃を無傷とは…!
    しかし垂氷ちゃんに対しても決定打には欠ける様子

    果たしてアイゼンさんの策とは!?
    そして烏丸さんの運命やいかにw

  3. 烏丸 賽 | URL | A1dPOS.E

    Re: 垂氷がんばる。その2。

    ネフトさん>
    ふたりともカッコ良く書きたいのでなかなかに苦労しますが、楽しんで頂けてれば幸いです~(´▽`)ゞ
    ぼくたちは一体どうなってしまうんでしょうか。
    ぜひその3もご覧下さい!(宣伝

    arahabakiさん>
    ありがとうございます!
    攻防一体の垂氷と鉄壁のアイゼン、互いに決め手に欠けるのですが、そこは経験に一日の長があるアイゼン…次回は大いに垂氷を困らせますw
    よろしければその3もご覧下さいませ!(再度宣伝

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